やまがたの若者向け地域活動情報紙WA-CHA   第2号

対談 「地域活動×情報ツール」by置賜地域 山田茂雄氏×大塚栄一氏

対談した人

山田 茂雄 氏

若者サポーター、コワーキングスペース スタジオ八百萬 代表 
家の元八百屋を改装し、2014年にコワーキングスペース「スタジオ八百萬」をオープン。イベントなどを通して、地域に根差した関わりを築いている。

 


大塚 栄一 氏

若者サポーター、高畠町若者まちづくり団体 おれまか 前代表
地元高畠町を中心にサブカル系イベントを展開。「おれまか」卒業後は、後輩のサポートをしつつ、若者支援の団体「たまなび」の代表を務める。

 

読んだ人が笑顔になれる  そんな投稿を心掛けています

情報ツールの進化は年々加速しています。スマートフォンが普及し、SNSが当たり前になった今、情報ツールの活用はどのように変化してきているのか。長年、活動の発信やネットツールを活用しての交流をされてきた大塚栄一さんと山田茂義さんに、これまでと今を伺いました。

 

大塚

まちづくり団体の「おれまか」をずっとしてきましたが、45歳で卒業となり、今はサポート側です。個人的に、自分は世代間の通訳の役割を担いたいと思っていて、自分より上の世代と、若者との橋渡し役になれるのは、どちらの言葉も理解できる僕なのかなって。少し上の世代って、特徴的な言葉を使う時があるじゃないですか。

山田

置賜とか特に、言葉のチョイスが独特な時がありますよね。標準語のニュアンスと違うというか。

大塚

そう、慣れないと分からないんじゃないかな。

山田

僕は今の仕事をする前はサラリーマンで、コンピューターの回路設計をしていました。震災などを機に、もう少し地域に関わりたいなと思って、まずはブログを始めました。地元の面白い人や場所を紹介するブログです。すると、地元の人達とのつながりが増えて。その中でも「メロメ」さんというバンドでは、映像制作や企画をお手伝いするようになりました。イベントも何度かしたのですが、大塚さんってもしかして。

大塚

母が、よく行ってました。

山田

やっぱり、お母さまなんですね。他にもメロメさん関係でおれまかさんと接点もあったりして。知らない人じゃなかった(笑)。

大塚

びっくりです。

山田

会社を退職した時にやりたいことが二つあって。ひとつはここで、もうひとつは東北芸術工科大学に通ってみたいっていう。

大塚

芸工大ですか!

山田

聴講生として通い始めて、10年目になります。コロナもあって今は行けてないんですけど。すごく刺激があります。県内で最初のコワーキングスペースが「スタジオ八百萬」だったので、馴染みがなかったのか始めは誰も来なかったんです。そんなときに芸工大の先生に頼んで、ここで授業をやってもらいました。リアルイベントは、隣の人の反応とか他の人の熱が伝わってくる距離感がいいんですよね。先生も同じところに立つので、フラットな関係というか。もともとブログもこの場所も、町の中に地元の人と外から訪れた人が交差するような場所があったらいいなという思いが根底にありましたし。

 

東京の学生たちによる地域コミュニティのイベント準備/スタジオ八百萬(2019年)

継続は力なり

大塚

2013年にニコニコ動画が主催する「ニコニコ町会議」が高畠町に来たんですよ。その時すでに「おれまか」はサブカルイベントをしていたので、いろいろ任せてもらいました。その翌々年から、独自イベントの「ミコミコちょうちん祭」を始めました。こちらも、始めはあまり人は来なかったですね。でも、人が来てくれるきっかけって、やっぱり口コミとか人との繋がりが強いと思うんです。継続は力なりといいますが、イベントを続けているうちに、ちょっと変な目で見られていたのが、「おれまかさん今年は?」って聞かれるようになりましたね。

山田

置賜の人って、良く分からないものに近づかない、手を出さない、腰が重いっていうのがあると思うんです。でもやり始めたらやめない、それこそ継続する力ですよね。

 

2019年の「ミコちょう」は山形出身の声優も参加

 

情報発信はプレゼント

山田

スタジオ八百萬の情報発信や交流で使っているのは、主にホームページとFacebookですね。Facebookは文章が書きやすいです。他のSNSもあるんですけど、あんまり。

大塚

Facebookが一番ブログに近いですよね。

山田

あとは多機能なので交流しやすいと思います。発信するときに気をつけてることというか、ずっと残っている言葉があって、芸工大の映像の先生が言っていた「企画はプレゼント」という趣旨の言葉です。受け取って嬉しくなる、最後にほっとするような流れを作ると良いという話でしたが、僕はSNSにも当てはまると思っています。読んだ人が笑ったりびっくりするような投稿を心掛けてますね。

大塚

プレゼント! いいですね。
「おれまか」はTwitterです。あとは、「ツイキャス」を使って生配信をしています。しばらくはニコニコ動画内で続けていたんですが、有料だったのもあってツイキャスに移行しました。ニコニコ動画はパソコンやマイク、カメラなどの機材が必要だったんですけど、ツイキャスは今スマホ一台でできるんです。機材に詳しい人がいないと配信できないということがないように、システムを変えていきました

山田

僕もブログ時代はTwitterも使ってましたね。Twitterは知らない人同士が繋がっていけるツールですし。あとは、自分でホームページを作ったり、時にはお願いされたりもします。

大塚

ホームページやブログのように自分から取りに行く形から、フォローしていれば流れてくるSNSの時代になってきて、ネットの使い方が変わってきているのかなと思います。つながりから自分の情報がブラッシュアップされていく……。

 

若者へ伝えたいこと

大塚

あまり背伸びせずまっすぐな発信をしてほしいと思います。でも、地域活動は背伸びしろって思いますけど(笑)。地域活動は背伸びしても、誰か支えてくれる人がいます。それこそ僕たちは「若者サポーター」で、支えようとしているほうなので。若いうちは失敗しても許される!

山田

失敗と言えば、SNSで「こんなこと言うと叩かれるんじゃ……」って心配する事もあると思うんですけど、僕は受け取ってくれる人を信じて発信しています。きっと大丈夫って。ツールは発信のためだけにあるのではなく交流するためのツールでもあるので、一方的だと受け手が嫌になる場合もあると思うんです。受け手がいるっていう前提で、どんな反応が返って来るかを想像して、相手の話を聞くために発信するのも大事じゃないかな。

大塚

会話はキャッチボールですもんね。

山田

あんまり立派なボールで投げるよりも、自分の等身大で投げたほうがいいっていう、大塚さんの話でも出てきましたけど。

大塚

ところで、団体じゃなくて個人で発信する時、「ラーメン食べてきました!」とか見ても面白くないかなーって発信できないんですけど、山田さんどうですか。

山田

僕はラーメンをいかにうまそうに写真に撮るかに命懸けてるんで。

大塚

素晴らしい! 僕もちゃんと使っていけるように、自分をバージョンアップしていかないとなって改めて思いました。

 

コワーキングスペース「スタジオ八百萬」

様々な業種で働く個人が仕事の拠点として活用するワークスペースです。仕事以外でも、趣味の集まりや貸し切りイベントなどにもご利用いただけます。

https://studio800man.com/

高畠町若者まちづくり団体 おれまか

山形県高畠町を盛り上げるため、コスプレ・痛車などのポップカルチャーイベントの企画・運営を行っています。ツイキャス生配信「見どごぇ?高畠!」は隔週金曜日夜21時~。

X(旧Twitter)

 

 


やまがたの若者向け地域活動情報誌「WA-CHA」vol.2
2022年11月 若者支援コンシェルジュ事務局発行