やまがたの若者向け地域活動情報紙WA-CHA   第1号

対談 未来へ広がるストーリー 佐藤祐氏×阪野正義氏

対談した人

佐藤 祐 氏

行政書士佐藤祐事務所
行政書士として書類の作成や相続手続きなどを代行する一方、外国人支援にも取り組み、在留資格取得の補助も行っている。


阪野 正義 氏

一般社団法人 希望活動醸成機構 代表
朝日町を中心に「おもしろいこと」をしたい方のサポートと空き家対策事業を行う。その傍ら、高校と大学の非常勤講師を務める

 

夢や希望を持つ人と 一緒になにかをする楽しさ

元朝日町地域おこし協力隊の阪野正義さんは、町の「おもしろいこと」を行う一般社団法人を立ち上げました。
立ち上げをサポートした行政書士の佐藤祐さんとは、公私ともに交流が続いています。
現在はお二人とも、「若者サポーター」に登録し、地域活動をしている若者の支援にも力を入れています。

 

佐藤

阪野さんと初めて会ったのは、5年くらい前ですかね。当時「民泊をしたい」という方から相談を受けていて、初めてのことだったので、朝日町のゲストハウス「松本亭一農舎」に話を聞きに行ったんです。
そこにいたのが、運営に携わっていた阪野さんでした。それで、阪野さんにいろいろ教えてもらいました。
そのときはそれっきりで、再会したのは、阪野さんが一般社団法人を作りたいと「若者サポーター(※)」に依頼をくれて、僕がサポートをしたときです。

阪野

私は当時、地域おこし協力隊を卒業するタイミングだったのですが、希望活動人口を増やしたいという朝日町の方針や、おもしろいことをしたいという若者の声を聞いて、それらを後押しする仕事をしていきたいと思っていました。
空き家対策事業も既に関わっていたので、法人という器を作ろうと思ったんです。個人でもできますけど、そうすると「阪野正義」の仕事になってしまうんですよね。
一般社団法人にすることで、いずれ器ごと町出身の若者がもらってくれないかなと。(笑)。それまで、ノウハウとか信用を、法人に蓄えていくのが私の仕事だと思ったんです。

佐藤

法人設立はそもそも行政書士の業務だったので、喜んで担当させていただきました。それに、一度会ったことがあったので、緊張せずにできましたね。

阪野

自分で必要な書類を作ってはみたものの、これで良いのか不安がありました。実際、祐さんに見せたらやっぱり修正するところがあって。
細かな文章とかもチェックして下さったので、安心感がありました。若者サポーターを利用したことで、行政書士が身近になった気がします

佐藤

すごく嬉しいです。敷居は高くないんですけど、やっぱりそう思われがちなので。

阪野

祐さんにはサポートをきっかけに、設立した法人の監事になってもらいました。専門的な視点で書類をチェックして下さるので、助かっています。

 

相談する側から“される”側へ

阪野

若者サポーターになって、いざ相談を受ける側になると、自分自身にも変化がありましたね。
相談される方はなかなか言語化できない部分を持ってくることがあるので、それをどう言語化していくかとか。私への相談は、パソコン関係や「これからなにかをしたい」という方が多かったんです。
パソコンの使い方については、デジタルリテラシーの部分で伝わらない単語もあって、伝え方を鍛えられました。
「組織を作りたい」という相談を受けることもあったのですが、組織を作ることを目的かのように言われると、私は法人を作ったときの大変さや設立後の労力の話をするんです。
組織を作るのは手段であって目的にはなりませんから
私の話を聞いて進めなくなるんじゃないかという心配もありますが、でも、一度立ち止まって考えてほしいなと。「あのとき教えてくれれば!」ってならないように。(笑)。

佐藤

僕の場合は阪野さんがサポートした後の、具体的な法人化の部分になるので、そのときはもうすでに法人を作ることが前提で、そこでストップすることはないですね。
やっぱり、夢や希望を抱いて新しいことに一歩踏み出そうとする人と一緒になにかをするというのは、楽しいです
ただどうしても、もうちょっと今後のことをきちんと考えてから踏み出すほうが良いかなというときは、スピードダウンしてもらうこともありましたけど。

阪野

「若者サポーター」で出会う方は前に進みたいと思っていて、意志が強いので、こっちがワクワクしてきますよね。
思いっきり背中を押し続けることもできるんでしょうけど、それは果たして真摯な対応なのか、迷います。

 

「つながり」が広がっていく

阪野

未知の出来事がたくさんあって、「こんなことも地域で起ころうとしているのか」とか、知らなかった世界がまだまだたくさんあるんだなということに、知的好奇心が広がります。
全部に関われなくて悔しいなっていう思いもあります。いろんな人と手を取り合いながら、人間って生きていくんだなあと思いますね。

佐藤

若者支援に携わることで、いままで関わりのなかった業種の方とも関われるので、人脈が広がりました。
そうすることで視野も広がりますし、行動範囲も広がって、自分自身の可能性も広がっていくのかなと思います。

 

親交はプライベートでも

 

佐藤

僕は昨年結婚したんですが、式で阪野さんにピアノを弾いてもらったんです。

阪野

はい。女性を想って作られたと言われる曲を演奏しました。

佐藤

ものすごく評判が良かったです(笑)。それから、まだ実現してないんですけど、以前から山登りしましょうって話をしてましたね。大朝日岳に。

阪野

実は自分は若干仕事意識もあって。移住関係も関わっているので、登山の様子を映像に収めようかなと。

佐藤

(笑)。分かります。法人の経営者はそうなりますよね。

 

 

山形に愛着をもつ若者へ

佐藤

今の若い人と話をしていると、山形の地域を活かしてなにかできないかということを考える人が、僕らの若い頃よりも増えている気がします。
山形に対しての愛着を持ってくれているんじゃないかな

阪野

私はなにかやろうという若者と関わることが多いですが、そういう方は地域とのつながりもうまくできていて、輪を広げて楽しみながらやっているなっていう印象は受けます。
地域のおじいちゃんおばあちゃんとも楽しみながらっていうのが、今時なのかもしれないです。地域の方も頑張っている人を応援したいっていう気持ちがあるんでしょうね。
やっぱり山形に愛着を持って、自然が豊かだったり食べ物がおいしかったりという都会では味わえない山形の良さに着目して、広げていってほしいです。
地域の良さを感じられるようになるには学びが必要なところもあります。例えば、ふと仕事の手を止めて、その辺にある草花とかを見て、光の照り返しに気づいて、自然の中って良いんだなと感じる素養というか。
価値を示してくれる人との語らいがあって、自分は山形の良さを感じられるようになりました。

佐藤

さっき話した山登りなんて、山形に住んでいないとこんなに頻繁に楽しめないですから。そういう意味で山形を楽しむ、そしてまた新しい人を呼んでもらえるようなことができたらいいですね。
したい方がいたら「若者サポーター」などを通してバックアップできたらなと思っています。

 

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やまがたの若者向け地域活動情報誌「WA-CHA」vol.1
2022年6月 若者支援コンシェルジュ事務局発行