山形の若者の活躍や山形の魅力を発信する「やまがた若者応援大使」が、県内でチャレンジする若者に会いに行く『やまがた若者応援大使の“やまがた探訪Ⅲ”』。

 今回は「SHARE HOUSE MYA (合同会社とびしま)の渡部陽子さん」が、遊佐町の「古民家カフェわだや」の店主、林千歩さんにインタビューしてくださいました。

#古民家カフェわだや 林千歩さん編
【探訪者 渡部陽子さん】

 

 古民家でほっと穏やかな時間を:古民家カフェわだや・林千歩さん

わだや店主の林千歩さん

 遊佐小学校のほど近く、住宅街の中を流れる月光川のほとりにある「古民家カフェわだや」の店主、林千歩さんを訪ねました。

 

ー今日はよろしくお願いします。まずは、林さんが遊佐に移住したきっかけを教えてください。

 遊佐に来る前に勤めていた会社には、初めから3年間働くと決めていました。担当していた仕事も一区切りついて、3年経とうとしているタイミングで結婚が決まって、主人と2人でどこに行こうかあちこち探しました。
 お水が美味しいところが良いな、と思って長井市や遊佐町を見てまわりました。初めは私1人で遊佐町を訪れたのですが、その時に水汲みの場所を地元のお母さんに聞いたら、すごく親切に教えてくれたんです。いい人がいていい場所だな、と思ったのが遊佐町の第一印象です。戻って主人にその話をしたら、自分も行きたいというので、2回目は2人で訪れました。移住の可能性もあるので役場に行くと、そこで地域おこし協力隊の募集があることを知りました。鳥海山が好きだった主人は協力隊の募集に応募してみることにしたんです。試しにちょっと住んでみよう、という感覚で移住を決めました。

ー偶然の出会いが移住に繋がったんですね。自分のお店を遊佐町で始めようと思ったきっかけはなんだったんですか?

 元々自分でお店を持ちたいと考えていて、全国あちこちのゲストハウス、ホテル、民宿などをまわり、住み込みで働いていたんです。遊佐町では地域おこし協力隊が主となり「遊佐町空き家再生プロジェクト」を発足していました。町内にある空き家を町が借り上げて改修し、民間に貸出して利活用しようという内容のものです。すごく条件がよいと感じたし、初めて建物に入った時に、この建物からは歴史を感じ、自分も、ここで会うであろうお客さんも穏やかでいられる空気を感じました。敷地内には鳥海山の湧き水も出ています。

わだや外観

 移住して間もない頃でしたが、庄内の友人などからの後押しもあり、カフェの開業に挑戦してみることにしました。7年前の5月末に遊佐に移住して、その4ヶ月後の9月末に空き家再生プロジェクトに申し込み、翌年の5月にオープンと、あっという間の1年でした。
 DIYしながらお店の準備をすすめ、キッチン周りとお手洗いは改装しましたが、客席になっているところは補修程度でほとんど手をつけていません。駐車場から入り口までのアプローチに使っている石も、鳥海山の麓に畑を持っている知人から譲り受け、自分たちで運んで、手作りしました。

 

改修はたくさんの人に協力してもらいました
できるところは自分たちで補修
駐車場から入り口にかけてのアプローチで使う石を1つ1つ運びました

 移住してちょうど1年後の5月に「わだや」をオープンしました。プロジェクトの初めての事例だったので、遊佐町の広報誌で街の人に知ってもらったり、メディアにも取り上げてもらったり、商工会等ともつながることができ、とてもありがたく感じながら始められました。

ーメインのメニューをおやきにしたのはどうしてですか?

 私は飲食店で経験を積んだわけでもなく、料理が得意というわけでもなかったのですが、祖母から教えてもらったあんこは作るのが好きだったので、あんこが使えるメニューがいいなと思って、本やネットで色々調べたりして何度も試作し、しっくりきたのがおやきだったんです。

毎日手づくりしているおやき

ーおやきの中身は、あんこ以外にもいろんな種類がありますよね。

 メニュー開発や製造は、全て私が行っています。主人と2人で初めて遊佐の役場を訪れた時に、ちょうどお昼時だったので、「地元のものを食べられるお店ありますかね?」と聞いたら、「ない!」とはっきり言われて衝撃をうけた経験があったので、おやきの具材には遊佐の食材を積極的に使うようにしています。食材は産直で仕入れたり、農家さんにいただくこともあります。産直のレジのお母さんたちと話すのも楽しみの一つです。
 おやきの具材はある程度作り置きします。レパートリーは年々増え、今では100種類近くあります。1番のヒットメニューは、ばんばどりのおやきですね。そして、おやきの生地は毎朝その日の分を作っています。おやきの生地で具材を包む作業は、無心でできるので楽しいです。
 おやき以外にも、夏はかき氷、冬はお汁粉などを出していて、おやきと同じあんこを使用しています。

ーお客さんはどんな層が多いですか?

 全室個室での営業ということもあり、お子さん連れが増えたように思います。顔見知りのお客さんや常連さんも増えて、遠方から来てくれる方も多いですね。
 カフェ以外にも、レンタルスペースとして、ヨガ教室や大人の書道教室に使ってもらったり、わだや主催のイベントも開催しています。お店の周りから採取した草やツルを使ってリースを作る里山リースワークショップを年4回開催したり、和菓子作りワークショップ、スパイス料理教室、湧き水を使った藍染めワークショップなど、様々なイベントを企画しています。

店内の様子。 冬期間はこたつが登場

ーこれから庄内は寒い季節になりますね。これからの展望を教えてください。

 数年前から、1月と2月は冬期休業にしていて、シーズン中バタバタしていてできなかったことを振り返る時間にあてています。
 お客さんも自分も穏やかでいられるような、気持ちよく過ごしてもらえるような雰囲気づくりを心がけています。オープンしてから今までずっと変わらず大事にしていることです。これからも大切にしていきたいですね。

ーわだやでこたつに入りながらお気に入りのおやきを選んで、温かい飲み物をいただいてのんびり過ごす時間は、なんとも言えない贅沢な時間です。林さんが作り出す気持ちの良い空間は、日常の延長のようで居心地が良く、包み込まれているような安心感があります。ぜひ、庄内にお越しの際は訪れてみてください!