令和6年度から若者サポーターに登録された佐々木祥太さんを訪ねて、インタビューをしました!
佐々木祥太さんは、愛知県出身。山形の大学を選び、地域との交流を深める中で大江町の魅力を知り、卒業後一度は東京の企業に入社しましたが、再び山形へ戻ってきました。
現在は、「大江町まちなか交流館ATERA」の指定管理者である一般社団法人ポートの事務局長を務めています。
大江町まちなか交流館 ATERA
大江町まちなか交流館 ATERAは、大江町の旧きらやか銀行をリノベーションし、2018年にオープンした施設です。
1階はカフェ、2階は誰でも利用できるラウンジスペースとレンタルホールになっていて、町内外の人が集まり、イベントや外部の人と交流したり、繋がる拠点となっています。
・・・・・大江町まちなか交流館 ATERA・・・・・
■ウェブサイト https://atera-oe.jp/
■Instagram https://www.instagram.com/atera_oe/
山形の大学を選んだ理由
―どうして山形の大学を選んだのですか?
「最初は地元(愛知県)の大学に進学しようと思っていたけど、私と同じ高校の卒業生でもあり、当時東北芸術工科大学のコミュニティデザイン学科長だった山崎亮さんが高校に講演に来て下さったんです。
山崎さんの講演は、『これから日本全体でどんどん人口が減少していき、地域はさらに過疎化する。町の住民自身で町をつくっていくために、それをサポートをする人材が必要だ』という話でした。それを学ぶ専門の学科が新しくできたという話を聞いて、興味を持ちました。それで、東北は一度も行ったことがなかったんですが、翌週には大学説明会に参加したんです」
―すごい決断力と行動力ですね!それだけお話に感銘を受けたということでしょうか。
「はい、もともと理系志望だったんですが、社会科やデザイン的なことも興味があって、これは面白そうだと直感的に思って受験を決めました」
―入学してからは、どんなことをしましたか?
「私が関わったのは、『ATERA(当時の旧きらやか銀行)を拠点に、中心市街地をどう活性化させていくか』というテーマでした。
まずは町の人にヒアリングして、町の課題や可能性を分析しました。
次に、ただ建物をリノベーションするのではなく、オープンした後に、活動する人・町の案内や紹介をする人・運営する人や組織が必要だということで、町の人たちと一緒に実験や練習をすることになりました。
町の人と学生で4班に分かれて、テーマごとに企画を立ててマルシェやイベントなどを行い、半年から1年くらいかけて実験をしたんです」
佐々木さんが所属したのはDIYチーム。
専門業者にやってもらう以外の自分たちでできる空間作りや、マルシェの屋台・看板作りを行いました。
「建物だけではなく、ATERAの前の通りも使って、一つのエリアとして広げていくために“飛び道具”のような屋台も必要だよねという話になって、手作りしました」

大江町の人たちとのつながり
―大学での活動で、大江町の住民と深く関わったんですね。
「はい、町の方々がいてこそなので、住んでいる人がどうしたいか、どういう理想像を描いているかによって、それを一緒に実現していこうという活動でした。時にはご飯を一緒に食べたり、飲み会をしたりしながら腹を割って話し、息子や孫のように可愛がってもらいました」
―卒業後に大江町に来ることになったきっかけは?
「大学卒業後に就職した会社を退職して次の道を探している時に、妻と東北旅行に来て、前任の方からこちらの管理者をやってくれないかという話を頂いたんです。妻と話し合って、一緒に山形に戻ることを選びました」
“山形に戻る”という言葉が自然に出てくる佐々木さん。大学を卒業してからも、知り合った山形の人たちと連絡をとり合ったり、旅行で山形に来た時に温かく迎えてくれたことが忘れられないと言います。
「距離が離れても、そうしたつながりが続いていたからこそ、『山形に戻っても、なんとか楽しくやっていけるだろう』と感じたんだと思います」
大事なのは、町の人と一緒に考えること
―地域づくりに関わってみて、どんなことを思いましたか?
「活性化してほしい、盛り上げてほしいということは全体的な声ですが、10年後20年後にどういう町でありたいか。大事なのは『町の人と一緒に考えること』だと思います。
人が減ることは寂しいという心情はあると思いますが、これまでの生活や町の機能が維持できなくなることのほうが問題です。
中長期的に、どういう問題が起こってくるか等の課題を一緒に考えて意見を出し合えば、見えてくるものがある。それに、同じ町内でも山間部と駅周辺部では問題や課題が異なったりしています」
―大江町に来て良かったと思うことは?
「この土地の暮らしや文化に触れられることが貴重だなと思います。
知り合った農家さんから大江町特産のすももの畑を見せていただいたり、お邪魔したお宅で漬物をいただいたり、地域のお祭りや行事に参加したり。そういうことは、他では経験できなかったと思います」

これから
―今後の展望をお聞かせください。
「この場所を継続させていくことですね。ここに限らずですが、町としての規模や経済が縮小していく中、これまで通り同じことをやっているだけでは維持できません。
このまま継続していくために何をするか。より多くの人に来てもらう、利用してもらう。常に、より面白い企画を立てるなどの試みや努力を続けていくことが必要だと思っています。
最初はお客さんとして遊びにきて、その中での誰かとの出会い、繋がりを作ってもらえれば嬉しいです。そして、この町に興味を持ち、『自分もこんなことをやってみたい』『こんなイベントをしたい』というような、一歩進んだ関わり方をしてもらう。最終的には自分でイベントの企画や活動、仕事として等で関わってくれる、そんな人をどう増やすかが自分の仕事です」

佐々木さんは、出身地である愛知県には年に数回帰省しますが、これからも山形県に住み続けるつもりだと話します。
「大学時代からこちらでずっと過ごして、先輩後輩や町の人たちと濃密な時間を過ごし、繋がりがあるので、もうこっちの方が“地元”ですよ」と笑顔で話してくれました。
若者サポーターとしても活躍中!
佐々木さんに相談してみたい、話を聞きたいなどのご依頼は「若者サポーター」を利用することが可能です。
若者サポーター制度の詳細は、こちらをご覧ください!
※現在申し込み受付が終了していますので、4月以降の開始をお待ちください。
取材協力(撮影):大江町まちなか交流館 ATERA
取材執筆:庄司ひとみ