高校生の大事な思い出の一つである「文化祭」

通常学校単位で行うこの催しを、学校という垣根を越えて開催しようというイベントが、92日(土)と3日(日)に山形市のAZ七日町内にある山形市中央公民館にて行われました。

 

その名も、「山形まちなか文化祭」

 

山形市の「まちなかサードプレイス事業」の一環として、市内5校(東西南北中央)の高校生たちが中心となって運営しました。

 今回は「山形まちなか文化祭」の様子を、実行委員長の渡部あづささんの想いとともにお届けします!

 

七日町に高校生を!

イベント当日。

会場となったAZ七日町の軒先には、いくつかのテントが立ち並び、おそろいのTシャツ姿の高校生たちが。

 

七日町を選んだのは、私自身がこの町に育てられたという感覚があるからです

 

そう語るのは、実行委員長の渡部あづささん。

 

山形まちなか文化祭 実行委員長 渡部あづさ さん
山形県立山形東高等学校3年生

 

「ランドセルを買ったのは大沼デパートだし、現在Q1になっている山形まなび館には母とよく行っていました。私は小学5年生の時に親の転勤で東京に行き、コロナが本格化する前に戻ってきましたが、数年の間に自分の過去の記憶と変わっているものが多くなり、新しくなって嬉しい反面、想い出の場所がなくなる事を寂しくも感じます。私自身、一度県外に出たからこそ、変化が明瞭に見えた気がします」

 

昔から親しまれていたお店がなくなったり、一方で新しい施設やお店ができたりと、移り変わる七日町を見て、もっと高校生も七日町に足を運んでもらいたいと思ったといいます。

 

そのきっかけづくりとして、授業の中で行った探究活動がありました。

 

「今回の文化祭のような企画をしたいという思いは、2年生の時からありました。探究活動では私たち東高校と中央高校が一緒に行っていて、そうして他校生と関わることで自分の中でいい刺激になり、考えをまとめるきっかけにもなりました。同じように他校生と関わることで他の高校生にもこの感覚を得てほしいと企画したのですが、その時点では人を集める手段が足りず、3年生まで持ち越して、4月に山形市の『まちなかサードプレイス事業』を通じて仲間を募りました」

 

 

4月から仲間を募り、市内5校から20名が実行委員会に参加。学校も学年もばらばらで、この企画が無ければ関わり合いにならなかったであろう出会いがありました。

 

6月には「山形まちなか文化祭」の協賛を募集するためのクラウドファンディングを実施。期日を待たずに目標金額を達成しました。返礼品には地元の菓子店のお菓子や、オリジナルのTシャツもあり、当日はTシャツを身に付けて来場する方の姿もありました。

 

 

スタッフは100名以上! 高校生が作り上げる、高校生のための文化祭

「山形まちなか文化祭」では、実行委員会のほかに、広報物のデザインや当日の準備、装飾、ブース運営などを手伝ってくれるスタッフが100名以上集まりました。

 

ステージを使ってのライブなどもあり、その照明音響もすべて高校生が行います。中央公民館のサポートも得ながら、演劇部などの高校生スタッフが経験を生かしてくれたそう。

 

出店されたブースでは、独自のサークルや任意で集まったグループによるものなど、多岐にわたります。どれも“高校生らしさ”に溢れていて、高校時代に戻ったよう……。

ブースに統一したテーマはあえて設けず、“カオス”を作り上げよう! とそれぞれがやりたいブースをグループで出店しています。

 

 

お化け屋敷

学祭といえば……お化け屋敷!
凝った看板が不気味で入る前からどきどきします。

 

縁日エリア

縁日ブースでは、昔懐かしなワナゲや水ヨーヨーすくいが楽しめました。

 

やまがたひょう議会

縁日の一角にあったのが、「やまがたひょう議会」さん

東高校の探究活動で、山形で昔から食されている「ひょう」の普及活動をしているそうです。
イベントではリーフレットとともに、ひょうを練り込んだクッキーを配っていました。
どんな味かと思えば、癖のないプレーンなクッキーでぺろっと食べてしまいました。これで栄養が取れるってすごい……!

■Instagram @SUPERFOOD_HYO

 

山形ハッカプロジェクト

AZ七日町の入り口付近では、「山形ハッカプロジェクト」がハッカを使ったアイスクリームを提供していました。こちらも探求学習のチームだそう。

アイスクリームはなんと、かき氷で有名な赤塚製氷さんとのコラボレーション!

蒸し暑い日にすうーっとする、さわやかなアイスでした。

■Instagram @YAMAGATA_HAKKA 

 

 

推し活 フォトスポット

イマドキ! と思わずにはいられないこんなキラキラなエリアも!

かわいらしく飾り付けられたスペースで、自分や、ぬいぐるみの写真を撮影できるブースがありました。

ポーズを決めてくれたスタッフさん、とっても可愛らしいです!

 

一方、こちらはちょっと真面目に……

やまがた産業祭

高校生にも山形企業の魅力を知ってもらおうと、東高校と中央高校の生徒で企画したものです。

2日にわたって4社の企業が参画し、この時間は天童木工さんがイスや机といった作品を展示していました。

 

模擬投票

「選挙に対する意識改革! 模擬投票」では、2日と3日それぞれにテーマを設定し、架空の候補を立てての模擬選挙が行われました。

投票箱や投票用紙も、山形市から借り受けた模擬選挙用のもの!

かなり本格的です。

成人年齢が18歳になり、選挙権も与えられ、高校生でも選挙に関心を持つことが求められている今、選挙を身近に感じてもらおうと企画したそうです。

一日目の選挙テーマは「山形市に必要な施設は?」
候補者はショッピングモールやミューズメント施設の必要性を訴えたり、自然の活用を推したりなど特徴があり、じっくり迷う有権者も。

 

投票結果はXInstagramで発信しています。

■X(旧Twitter) @yamagatasennkyo

■Instagram @YAMAGATA.SENKYO

 

その他にも6階のステージでは、吹奏楽部の演奏やバンドグループによる演奏もあり、最後はしっかり後夜祭もある、盛りだくさんの文化祭となりました。

 

学校学年ごちゃまぜだから作れるおもしろさ

「東西南北中央それぞれ、学校ごとに個性や何となく抱いているイメージがあると思うんですけれど、そのイメージをはずして、一緒にやることで面白いことができるっていう感覚を、高校生が感じてくれたらいいなと思います」

と渡部さん。

探求学習を通して感じた他校生との交流の魅力を、今回のイベント協力してくれた高校生や、参加してくれた高校生にも感じてほしいと話します。

 

来年もまた開催できるかはまだ不透明ですが、山形県内の大学への進学を考えている渡部さんは、もし行うなら何かしらのサポートをしたいそう。渡部さんの想いを継いでくれる方が現れるのを期待してしまいます。

 

最後に、渡部さんの思う「山形の魅力」を伺いました。

 

「山形の魅力は、人との距離が程よく近いことだと思います。今回のイベントで多くの大人と関わらせていただく機会があり、たとえば誰かに相談すると、おすすめの人を紹介してくれたり、実際にその人と話してみると実は他の知り合いともつながっていたり、そうして自然とネットワークが広がっていきました。東京だとそうやって広がる輪があまりなくなってしまうように感じるので、山形のほどよく輪があるのが、良いところだと思います」

 

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高校生が高校生のために作り上げる、学校の壁を越えた文化祭。

委員もスタッフも、一般で遊びに来る学生もみんな楽しんでいる様子がうかがえました。

こうしてできた横の繋がりで、参加した皆さんの輪がもっともっと広がってゆくのではないかなと思います。

 

参加した皆さん、お疲れ様でした!

(運営委員のみなさん)