やまがた若者応援大使#宮城妙さん(くしびきこしゃってプロジェクト 代表)

今回は、くしびきこしゃってプロジェクトの宮城妙(みやぎたえ)さんに会いに行ってきました。若い頃は「田舎のなかのいなか」と思っていた地元が、実は刺激や魅力に溢れた場所であることに気づき、山形の魅力を再発見できるマルシェを展開しています!そんな宮城妙さんたちが手がける『くしびきこしゃってプロジェクト』とは??


鶴岡市(旧櫛引町)出身、さくらんぼ農家・デザイナー。地元高校を卒業後、東京の美術大学へ進学、卒業後は東京のデザイン会社へ就職。10年ほどインテリアデザインに従事。その後会社を退職し、夫の実家の東日本大震災の被災をきっかけに、2012年鶴岡へUターン。2014年よりくしびきこしゃってプロジェクトを立ち上げ、年4回のこしゃってマルシェを開催している。


こしゃってマルシェの様子

―「こしゃってマルシェ」とはどんなマルシェですか?

「手作り」をテーマにしている「こしゃってマルシェ」。
実は、この「こしゃう」という言葉は「作る」を意味する鶴岡の方言に由来していています。地域に暮らす人たちがその魅力を分かち合うための“場”として、年4回開催しているものです。

マルシェでは、農家さんや飲食店さん、クラフト・ハンドメイド作家さんの約30の販売ブースが並びます。つくった人が直接販売をするマーケットであること以外に『地域の魅力を学ぶワークショップ』も毎回5、6種類開催しています。

ワークショップでは、庄内柿の摘果したもので染物体験をしたり、この地域にあって捨ててしまうようなものも地域資源として積極的に使っています。これまで約150回のワークショップを行ってきましたが、同じ内容を繰り返しやったことはありません。それだけ魅力的な素材が様々あって、それぞれに活躍している講師の方がいらっしゃるからです。

こしゃってマルシェ会場から臨む田んぼの風景

―これまで150種類ものワークショップを!?どのようなきっかけで地域の魅力に気づくことができたのでしょうか?

それは、Uターンした当時、地域の良いところが見えていなかった意識を180度ひっくり返してくれた庄内の暮らしや地域の魅力を積極的に味わっている友人たちのおかげです。

登山や森の中の湖までのハイキング。
大きな木やおいしい水。キノコ狩りや木の実拾い。旬を味わう食べ物。
文化豊かなこの土地で継承し、創造する、魅力あふれる人たち!

地域に潜り込んで行くほどに、すぐ近くにあったたくさんの魅力に気づかされます。
一度そのことに気づけば、まだ出会えていないディープな山形の魅力はまだまだたくさんあると実感しています。

くしびきこしゃってプロジェクトメンバーの活動の様子

―そんなディープな山形の魅力について知る活動とは?

Uターンした翌年2013年に、中学校の同級生に誘われて『鶴岡まちづくり塾』(主催:鶴岡市)の塾生としての活動に参加させてもらいました。

『鶴岡まちづくり塾』では、市民と行政が協働で具体的なまちづくり活動を実践していくもの。「ないものはつくってOK!」「具体的に行動してOK!」ということを前提に、若者らしいアイデアの等身大のプロジェクトが数多く生まれました。

参加したくしびきのグループでは、婚活プロジェクトとして、ぶどう狩りなどフルーツの里くしびきならではの「地域資源」を活かしたカップリングイベントを開催しました。そこでカップル成立したお二人がご結婚され、赤ちゃんが誕生するなど喜ばしい報告もいただいています!

毎年マルシェに来てくれる子どもたちの成長をマルシェを通じて感じることも

―今後の目標は?

こしゃってマルシェを「くしびき」でまず10年間続けていくことが目標です。

「くしびき」という場所は、商店街もなければ若者が集えるような場所もほとんどない「田舎のなかのいなか」。それでも、暮らす楽しさがある。定期的にマルシェを開いてくことで、集える場をつくって、この地域で暮らす「楽しさ」や「誇り」を共有していきたいと考えて活動してきました。

地元の人ほど当たり前すぎて気付きにくくなっているような魅力がここにはたくさんあるので、まずは10年。今マルシェを楽しんでくれている子どもたちが、もし地元を離れても、いずれ帰ってきたいと思えるような郷土愛をはぐくんでいけたらいいなと思っています。

今年で7年目ですが、定期的にマルシェを開いてきたことで、直接生産者さんを応援できるようなつながりができたり、出店者さん同士の交流で新たなビジネスが生まれたり、双方向の交流の「場」が築かれてきていて、これらは決して数字では表せないもので、本当に嬉しいことです。

個人的には、高校生ボランティアでマルシェをサポートしてくれていた子が就職してこしゃってのメンバーになってくれたり、一緒に活動してみたいと連絡をくれる方がちらほら出てきてくれたことも、めちゃくちゃ嬉しいことだったりもしています。

「こしゃって朝カツ!」の様子

今年度はコロナ禍でこしゃってマルシェは休止と決断しましたが、メンバーと今できることを考えて、秋にはマルシェ出店の方に協力してもらい『こしゃって朝カツ!』というワークショップを開催しました。これは、朝の時間を利用してコロナ禍の運動不足の解消を目的としており、朝に運動をして、朝ごはんをおいしく食べるワークショップです。

また他にも、今年に入ってから『庄内あっちこっちマップ』という取り組みもスタートしました。「地元の人が、地元の人と、地元のいいところをオススメし合う」をコンセプトに、SNS上で地域を紹介する情報発信を展開しています。

―やまがたの若者へのメッセージをお願いいします。

今はSNS(会員制交流サイト)なども発達していて、個人が意見を言いやすいですが、「それいいね!」という肯定的な意見だけでなく、否定的な意見が気になってしまって、やりたいことがあっても足がすくんでしまうことも多いんじゃないかなと感じてます。私もそうです。

でも、
「間違いのない人生なんてない。
自分が思うほど相手は自分に注目していない!」

ある時そんなことに気がついて、一挙手一投足を自分の意思で、ある程度のびのびと動くイメージを自分に持たせながら動くようにしてから、前よりだいぶ動きがスムーズになってきました。笑

リカバリーできないような大失敗はダメージがきついですが、リカバリーできないようなものはきっとそれほど多くありません。トライ&エラーで、自分の人生に積み上げて行ってよし!

そのトライ&エラーを何も知らない誰かが非難したり、回避させようとしすぎたりしないように、そんなおおらかな風土を醸成して行きたいなと、2児の親としても考えるところがあります。若者に限らずですが、自分の物差しでトライ&エラーを積み上げ、自分の意思による楽しい動きが地域に点在していけば、面として見えてくる地域の景色も違ってくるだろうなと思っています。

そんな点の一つとして、くしびきこしゃってプロジェクトが手がける『こしゃってマルシェ』でも表現していけたらと思っているので、ぜひ一度遊びに来て頂けたら嬉しいです。

――幼い頃の当たり前も、いざ離れみてわかる地元の魅力。そこで気づいた想いをマルシェで発信していくことで、くしびきこしゃってマルシェは多くの人にとって大事な地域の賑わいとなっております。今年度はコロナ禍ということで一年間の休止期間となりましたが、様子を見ながら、今後の活動を再開していくようです。マルシェのある櫛引の10年後まであと3年・・・。くしびきこしゃってプロジェクトがつくる、櫛引地域にどんな景色が広がっているのか楽しみです。

(ライター・伊藤秀和)