山形の若者の活躍や山形の魅力を発信する「やまがた若者応援大使」が、県内でチャレンジする若者に会いに行く『やまがた若者応援大使の"やまがた探訪"』第5弾です。

今回は「SHARE HOUSE MYA (合同会社とびしま)の 渡部陽子さん」が海を渡り酒田市で活躍する加藤夕佳さんに会いに行ってくださいました。

#CHEMO(けも) 加藤 夕佳さん
【探訪者 渡部陽子さん】

CHEMO(けも)の加藤夕佳さん

酒田市平田地区の街なかに、ひときわ目をひく可愛いカフェのようなブルーの建物があります。
建物の入り口には、「ここはカフェではありません」という内容の看板……。軒先には、きれいに干し柿が吊るしてあります。

ここが「CHEMO(けも)」の加藤夕佳さんの事務所です。ワクワクしながら扉を開け、夕佳さんにお話を伺ってきました。

雪の中でも映えるブルーの建物(CHEMO事務所)

ー「CHEMO」について教えてください!
 主な事業内容は、英語教室、お菓子やコーヒーを中心とする食品製造と販売、イベントへの出店(月に1回~2回)、写真撮影、ウェブデザイン……と様々なことを行っています。
 「CHEMO」という屋号は、庄内の方言でかき混ぜることを意味する「けもする」と、化学反応を意味するchemistryの2つの言葉が語源です。私1人ではできることに限りがあるけれど、色々な人が「CHEMO」を通して出会い、誰かと関わることで思いもよらなかった結果が生まれたり、大きな流れになり、世の中をかき混ぜて動かしていきたい……という思いを込めています。

ー庄内に戻ってくるまでには、どのような活動をしていたのですか?
 
高校卒業後に大学進学でアメリカに留学し、社会学を専攻し国際関係学を副専攻として学びました。大学在学中にホームシックやカルチャーショックなど様々なことがあり、アメリカが嫌いになったこともありました(笑)。ですが、その経験から、社会やコミュニティをより深く学んでみたいと考え、社会学を専攻するきっかけになりました。また、美術にも興味があり、特にルネサンス芸術が好きだったので、大学3年の後期に半年間の交換留学制度を利用し、イタリアにある学校でデッサンなどの美術基礎やイタリア語などを学んだ後、アメリカの大学に戻りました。
 卒業後は、日本に戻り、学校を作ることに興味があったので、学校経営の勉強をしたいと思い、大学の事務で7年間働きました。
 ちょうどその頃、世の中では地方創生が話題となっていました。
 私は、酒田に帰省した際に、酒田の子供たちが庄内弁を話さなくなってきていることに驚いたんです。このままでは地域の言葉がなくなる。また、その言葉をもとに作られてきた文化も消失してしまい、地域への帰属性もなくなるのでは、と不安に思いました。「庄内の人」としてのアイデンティティを失っていくことにすごく危機感を覚えたんです。
 そこで、庄内に戻って庄内弁の維持・保存をしながら文化的な土壌を形成し、私たち世代の文化が作られていければ、若い世代の人たちが庄内に戻ってくるんじゃないかと思ったんです。
 そうして私は2016年5月に酒田にUターンしました。

いつも笑顔で迎えてくれます

ーなるほど。現在の活動をしようと思ったきっかけは何だったのですか?
 英語教室もお菓子づくりもウェブデザインも、実はもともと趣味で、興味を持っていたことなんです。英語は、私の周囲に「英語を話せるようになりたい」という人が思った以上に多く、必要とされているのであれば教室にしてみようかな、と思ったのが始まりでした。私自身、英語を学ぶことが好きだったし、留学経験もあったので、すんなり始められました。ウェブデザインは高校生の頃に興味があって独学で学んでいました。

 私が好きで趣味として続けていたことが、案外他の人よりできるかもしれないということに気づいて、「このくらいであれば私にもできます」というスタンスで少しずつ仕事に結びつけていったんです。

ー活動の中で大切にしていることはありますか?
 様々な人を巻き込んで、一緒に実行していくことを大切にしていますね。
 また、一度県外に出た人たちが戻ってきたいと思うような場所づくりを目指しています。庄内という場所で何か出来そう、自分たちで新しい文化を作れそうという空気を作っておくことが必要であると考えます。私たちの世代が地域で文化形成できる土台をつくることができれば、戻ってきてくれると思うんです。地域にいる人が楽しいと思える場や環境をつくることで、後々地域が大きく継続して発展するんじゃないかなって思います。

ー今後チャレンジしてみたいことはありますか?
 教育に興味がありますね。フリースクールを作りたいなと思っているし、新しい奨学金の制度を作りたいとも考えています……やってみたいことがいっぱい(笑)。教科書と机の上だけで学校が終わるのではなく、学んだことを実生活に結びつけられるような場所を作りたいです。
 自分の知的好奇心を刺激する方法を自分で知っていると、生涯それが趣味や仕事に活かせると思うし、強みになると思うんです。

河川敷にてカブの収穫

夕佳さん(写真右)は「面白い」を考える天才!

ーー取材の後、「この近くで鮭が上ってきている川があるから、見に行ってみましょうか」という夕佳さんの一声で2人で河川敷へ。
事務所から車で数分の橋の上から川を見下ろすと、浅瀬で必死に泳いでいる鮭を数匹みることができました。中には産卵を終えて、命を全うした鮭の姿も。
「こうやって必死に生きている命を直に感じることって大切だと思うんですよね。泳ぐ鮭を見ながら河川敷でコーヒーを飲みたいな。」と夕佳さん。面白いアイディアが次々と湧き出て、いくら時間があっても話が尽きることがありません……!
自分にできることから着実に前へ前へと歩んでいる夕佳さん。
地に足をつけて世界を見据える視点や世の中に働きかけることの大切さを学びました!