若者支援コンシェルジュ事業 第4回目のテーマサロン(1122日)は
「災害×地域活動 人と地域を助ける活動で大切なこと」をテーマに
ウェザーハート災害福祉事務所の千川原公彦さんのお話をお聴きしました。

 残念ながら若者の参加者は2名と少ないサロンでしたが、
とーっても大切なことがたくさんのトークだったので、
いつもより濃いめにレポートしますよ~! 

何かとお忙しい秋の平日でしたので、
都合が悪くて来られなかった~という方、
少しでも場の雰囲気と内容を味わっていただければと思います(^ ^)

 

■宮城県丸森町と過去の災害支援活動から(千川原さんのおはなし)

千川原さんは、20年間防災活動に関わっており、数々の被災地に入り支援活動を行ってきました。現在は約1ヵ月間、宮城県からの支援要請をうけて台風19号で被災した丸森町に通っています。

「今は東日本全域に被災地があり、ボランティア不足が深刻です。丸森町は来年1月位まで、ボランティアの力が必要だろうと思います。先日の連休には3日間で1300人のボランティアが集まりましたが、そのうちの300人が山形からのボランティアバスでした」(千川原さん) 

丸森町では、被災して1ヵ月が経つ今も避難所で生活する人たちがいます。災害ごみも処理できないほど。今回の被災では米の収穫時期と重なったため、稲わらが流されたことが特徴的で、稲わらの処分をどうするかも課題となったそうです。 

どの災害でも、住民がいちばん辛いと感じるのは「断水」。特にトイレが使えないことのストレスは大きく、長期化すればするほど大変になります。 

また、災害時に気を付けなければならないのが悪徳業者や災害便乗詐欺による被害で、屋根にブルーシートをかけるだけで数十万円を請求してくる事案が多発しているそうです。

 

■山形は本当に災害が少ないの?

 

なぜかはびこる「山形安全神話」。確かに比較的災害が少ない県かもしれませんが、近年は鶴岡での地震や川西町、長井市、戸沢村などでの浸水被害など深刻な災害が起こっているのも事実です。

では、これから起こり得る災害はというと・・・

 ゲリラ豪雨・・・温暖化の影響かはわからないが、年々増加しており被害も大きくなっています。

地震・・・県内四地域に活断層があり、全国180の活断層のうち、危険度が高いのは山形盆地断層帯11位で震度7が予想されています。新庄盆地断層帯15位、庄内平野東縁断層帯16位と全国に比べてもそう安全とは言えません。

もちろん、天災、自然災害、人災……と起こり得る災害はさまざまですが、「山形は大丈夫」と思わずに、そのような危険があることをしっかり認識しておくことが大切です。

 

■「自助・共助・公助」は上杉鷹山のことば

米沢藩の上杉鷹山が言ったとされる「自助・共助・公助」はもはや全国区。「災害に限らず、日頃の地域活動にも役立つ」と千川原さんは話します。

「普段、行政のサポートは力強いと感じるかもしれませんが、災害が起きるとそれぞれの役目(バランス)が崩れます。行政でできることは全体の2割くらいと言われており(行政自体も被災しているため)、自分でもできない、行政でもできないことを支えていく「共助」の役割が重要視されています。
まずは自分、家族の命をしっかり守る「自助」が最優先ですが、安全が確保されたうえで周囲を助けるということが大切だと思います」(千川原さん)

 

■ワークショップで考えてみた

 まずは自分自身のことから、山形のこれからについてまで、幅広く意見を出し合いました。

感想、課題、疑問

意識・技術の向上
  • 山形のメディアでは知れないことも多い
  • 「危機感」をどうやって生むか?
  • 「起こる前に考える」って難しい
  • 山形の多くの人にとって、自然災害は他人事?
  • 被災地が遠い(距離的に)
  • 山形の災害リスクは0ではない!(危険な活断層)
  • 若い人が防災に興味をもつにはどうすれば?
  • 「共助」の大切さ⇔「公助」への依存
  • これだけ災害を繰り返しているのでスキル向上しないのかとも思うがそれを阻害するものは…
家庭のそなえ
  • 最初に取るべき行動は?
  • いざという時のための準備が必要
  • 山形でも起こるかもしれない。でも揺れや水にどう対処したらいいのか
  • 最低限の備え(家庭)必要なもの
  • 自分の身のまわりで起きたら何ができるだろうと思った
  • サギや悪徳商法に会わないように見守りや巡回などが必要と思った
  • 「対策」「備え」といっても全部流されたらどうすれば?
災害のうつりかわり
  • 地域で助けあうとはどういうこと?災害が起こった後、時期によって違うと思うが…
  • 他県での受入がある場合、移住したい人ってたくさんいるのか?
丸森町のこと
  • 丸森町の方が冬を越す準備は?
  • ボランティアには行けないけど私たちにできることは?
  • 1ヵ月経ってもひどい状況だとは知らなかった
  • 他人事ではない
  • 今、一カ月以上、普段と違う暮らしをして元に戻れるかわからない不安のある人々が安心できるには
  • 写真ニュースをみると辛いだろうと思って悲しくなります
ボランティアの現状
  • 丸森VCのすごさ
  • ボランティア活動の情報が集まっている場所は?
  • 世界から見た日本のボランティアの意識
  • 現地に行けない場合、どんなボランティアができるか?
  • 小学生がボランティアに参加してるのか?(学校単位)
地域性
  • 農村部と都市部でのちがいや特徴を詳しく知りたいと思った
避難所
  • 避難所でもっとスムーズに快適な生活にできないのか?
[これからどうしていくか]

意識、不安
  • 「奥羽山脈があるから大丈夫」問題
  • ハザードマップを見る
  • 家庭の中で年1回、2回は備蓄その他チェックする日を作る(防災デー)
  • 大切なものはできる限り2階に置く
  • なかなか目の前のことでいっぱいの人が多いのでそう簡単ではない
  • どこまで行政がしてくれてどこからしてくれない(できない)か知りたい
  • 災害ボランティアセンターについてもっと知ってもらうことがだいじ。
避難について
  • 避難指示が出てもどうしたらよいかわからない
  • 避難所の場所とそこまでの道と時間を知っておく
  • 避難場所を決めておく(知っておく)
  • 高齢者がいる。遠方の家族との連絡
  • ご近所・自治会・子ども会のつながり(日頃からの)
  • 近所にどんな人が住んでいるか、関りがある
  • 地域の中で〇〇は〇〇さん、〇〇は〇〇グループなど得意な人を知っておく
  • 持出袋の準備
  • 発電機、トイレ用の水を備える
  • 避難指示が出ても逃げない人が問題(地区役員が説得できずにいる)。今までは「あなた逃げないと死んじゃうよ」→これからは「あなたが逃げないと私も死んじゃう」というチラシを山形で配る
災害のシミュレーション
  • 大学も避難訓練や災害の講座をしてもいいと思う
  • 市町村で避難訓練があるといい
  • 避難訓練の改革:優先順位の低さ。参加するメリットをつくる。楽しさ、ゲーム感、1人1人考える訓練に
  • VRで仮体験(地震)。仮体験施設。「自分の家」が崩れる映像
  • 活断層についてもっとPR
  • 災害が起こった場合のシミュレーション動画の作成。地域ごと、災害ごと
  • やっぱりシミュレーションが有効と思う
  • 若者へ向けて流行りのYouTubeを活用してリアルを届けられないだろうか
防災教育
  • 「防災について」を教育に組み込む(地学の基礎、地域のこと、法律のこと)
  • 若者がボランティアに行く機会をつくる
  • 小学生のうちから「防災教育」
  • 学校で授業の一環として子どもの時から教えておく(子どもが大人に教える)
  • 被災地を見るだけで良いので「被災地バスツアー」を行う
  • 被災地ボランティアに行ってみる(申し込みやすくしてほしい)
  • 被災された方の生の話を伺う
  • 上からではなく身近な人からの声かけ、同世代からの働きかけ(先生、親ではなく)
  • いざ必要になった時にすぐわかる仕組みを作っておく
  • 学校単位でボランティアに行く→現場を知る若者を増やす、体験してもらう
  • 実際に被災地と同じ生活をする(非常食、トイレ、寝る場所の硬さ)
  • 「はたらくくるま展」のノリで「災害時に活躍するメカ展」のようなイベント(子ども向け)

 

■ワークショップを終えて

なかなか普段は話すことのない「災害」について、真剣に向き合い、考える時間は本当に貴重でした。

「みなさんの話を聞いて、なんとなくキーワードが見えました。まず知識を高めるツールがあると良いこと、体験型の経験ができること。以前鶴岡でしたことがありますが、一泊避難体験もいいだろうと思います。あとは映像で自分の地域の災害イメージを得ること。官民で協力しながらワクワクするような仕掛けがあると良いと思いました」(千川原さん) 

参加者の方々からも、「今すぐにできることは何なのか考えていく」「実際に現地での経験談を聞きたい」などの意欲的な感想をいただきました。 

災害は、いつ訪れるかわからないもの。

その時に「自分は?」「家族は?」「地域は?」と今から考えておくと、いざという時に慌てずに行動を起こせるかもしれません。

みなさんの周りでも、そういったことを話し合い、確認し合う場を作ってみてはいかがでしょうか。

 

最後に、支援活動でお忙しい中、お越しくださいました千川原公彦さん、参加してくださったみなさま、ありがとうございました!