米利休さんってどんな人?

 

「米利休と申します」

直立不動の青年が苗床の前で立つ。
TikTokやInstagramで、そんなリール動画が流れてきたという人は
わりと多いのではないでしょうか。

米利休さんってどんな人?
Instagramより

 

山形県の置賜地域で米農家を営む家に生まれ、東京大学を卒業し、廃業寸前の実家の農業を継いだ米利休さん。Instagramは、開設して間もないのに、フォロワー12万人に達しました。
https://www.instagram.com/komenorikyu/

2024年7月9日時点のInstagramプロフィールページ
2024年7月9日時点のInstagramプロフィールページ

 

米利休さんってどんな人?!

さっそくお訪ねして、インタビューしてきました!

 

Q.米利休さんのことを教えてください!

A.
今、私は25歳なんですけど、15歳まで地元の中学校に通い、仙台高専という5年制の学校に行きました。機械とかプログラムとか回路みたいなものを専門的に学んでいたので、最終的には研究や開発をしたいなと思い、20歳の時に東京大学に編入しました。

 

 

Q.大学生活は、どんな感じでしたか?

A.
東大は楽しかったですね。なかなか出会えないような、個性豊かな方とたくさん出会うことができました。普通の会話では通じないようなことも、一足先に理解されて返事が返ってくるみたいな、そういう環境でしたね。
東大は編入なので3年間だったんですけど、ちょうどコロナの時期で、「オンラインで収入を得る」みたいな風潮になったんですね。どうせ家にいるならと通販サイトやYouTube、コンサルティングみたいなことを始めたんですが、学業との両立が難しくて、半年間休学したんです。
それを経て、将来はやっぱり研究職とかではなく、自分で道を作っていきたいなと思うようになりました。人の役に立てる仕事ができたらいいなとも。この2つの軸が、自分の中で決まったんです。

Q.そこから農業を継ぐというのは、また大転換があったということ?

A.
大学を卒業してからは、就職しないで自分でいろいろなことをしていました。ちょうどその時(去年)、祖父が農業をもう続けられないんじゃないか、という話になったんです。
農業で使う機械を買い替えなきゃいけないし、さらに借金をするくらいなら農業をやめたほうが…という感じでした。
今まで何代にも渡って続いてきたうちの農業が途絶えるのはとても残念なことです。いろいろ考えていくうちに、農業の担い手がどんどん減っていくなら、それを逆手に取って、稼いでいけるチャンスもあるんじゃないかと思うようになりました。ここで農業という道がなくなるのも悲しいというか、今年しか農家を継ぐチャンスがないと思い、「よし、継ごう」となりました。イチかバチかみたいなところはありますね。

Q.実際に始めてみて、どうでしたか?

A.
実際にやってみて、一番は「なんか楽しい」と思いました。体を動かすのが好きだし、機械を触るのも好きなので、それは楽しいですね。どんどん厳しい作業も来いや、と思いながらやってます。
もちろん、マイナスの面もあります。いろんなしがらみがあるとか、天候が相手なので「聞いた話と違う」ということもありました。
ただ、金銭面では、祖父一人でも赤字なのに、もう一人増やしてどうするんだ、みたいな感じですよね。
だから、販路を作らないといけないと思い、農作業をしながら、SNSでのマーケティングに力を入れることにしました。方法は精通しているので、戦略だけはきちんと考えたんです。

米利休さん
米利休さん

Q.すごくバズってますが、発信のポイントは?

A.
一番大事にしたことは、ターゲット層にむけて「楽しい、面白い、わかりやすい」ということでした。最近の傾向では、早口でどんどんしゃべるものが多いですが、比較的ゆっくり話し、わかりやすいように、話し方、話す内容を意識しました。
あともうひとつは、農家さんって、SNSで発信する時に、「どんな作業をしてるか」というのを発信するけど、それってたぶん一般の人にはあまり興味がない部分なんです。それよりも、どんな人が作っているかとか、想いなどをドキュメンタリー形式でお伝えするというのを設計で大事にしました。
実際、ここまで増えるとは思っていなかったんですけど、東大卒ということで希少性が高かったのかもしれません。「このアカウントは普通と違う」という見せ方ができたことが、フォロワーが伸びた大きな要因かなと思っています。

Q.これからの展望や想いを教えてください。

A.
米利休さんってどんな人?視点が2つありまして。
ひとつめは、SNSを通して、自分がどんなふうに、どんな考え方でやっていくかというところを発信することで、例えば農家さんがそれを見た時に、モチベーションに繋げてくれたら嬉しいなと思っています。農業だけじゃなくて、挑戦している人を見ると「自分もがんばろう」と思ってくれる人もいると思うので、そういったポジティブな影響を与えていけるような発信を続けたいですね。

もうひとつは、「自分は農業界に何ができるだろう」と考えたんですけど、もともと工学をしていたので、現場で経験したことをもとに、農業システムや農機具を開発して、求めやすい価格で提供したいなということに辿り着きました。これは10年後とかの話ですけど、そうやって農業界に少しでも貢献できて、かつ自分も儲かれたらということを考えています。

やっぱり、地元の田園が広がる眺めを見るのが好きなので、この景色は守っていきたいなと。守るには、それなりに稼がないといけないので、稼げる仕組みを作って、現状を変えていくということをしないといけないのかな、と思っています。

県内の若手コメ農家3人が集まりました

 

また、今回のインタビュー取材では、
県内の2人のコメ農家さんが駆けつけてくださいました!
庄内地域で大規模農業を営み、若者サポーターでもある佐藤裕太さん(中央)、
置賜地域でスーツ農家として活躍する齋藤聖人さん(右)です。

 

県内コメ農家3人が集まりました

 

今回が初対面、または二度目というお三方。
山形農業の未来を担うコメ農家さんが膝を交え、
フラットにいろいろなことを話し合う時間にもなりました。

 

 

農業全体は厳しい状況かもしれませんが、
だからこそ、タッグを組んで
山形の農業を盛り上げていってほしいなと心から思いました。

この記事を読んでくださった方も、
ぜひ山形の農業を応援してくださいね♪

 

米利休Instagram
https://www.instagram.com/komenorikyu/

 

2024/7/3取材
若者支援コンシェルジュ事務局
ライター:海谷美樹