山形県青年の家「YYボランティア」

 天童市の市街地にある「山形県青年の家」。
 合宿ができる施設としても有名ですが、学生の地域活動を支える拠点として、さまざまな事業が展開されています。

 山形県青年の家の事業のひとつに、YY(Yamagata Young)ボランティア=「学校の枠を超えた青少年のボランティアサークル」があります。ボランティアに取り組む学生の交流会やリーダー研修、学校での出前授業、各地のボランティア活動の情報の発信などを行う拠点になっています。

YYボランティアは学生さんが自主的に運営・活動しており、その取り組みが全市町村に広まって、歴史が長く、「山形方式」として知られているのだそう!

 最近は青年の家の体育館などで、部活動とボランティア(建勲神社参道や舞鶴山の清掃や雪片付け)をコラボしたり、フリースクールなど若者支援場同士をつなげる交流会(スポーツやアート作り)など、さまざまなオリジナリティあふれる企画イベントを行っているのです。

 

ボランティアサークル「nicoこえ」

昨年度、青年の家を拠点とするボランティアサークル「nicoこえ」が発足しました。
大学生と高校生で構成された現在18名のサークルです。

青年の家研修課長の沼澤欣一さん
「実は、この<山形方式>のボランティア活動は市町村単位だと少子化の問題もあり、どうしても人員や活動に限界が来ているんです」

「nicoこえ」は、様々な市町村から学生の参加者が集まり、青年の家を活動拠点としていますが、それぞれ日々の部活動や実習や課題が忙しい中、『今年はだいぶ活動しましたよ!』とのこと。

例えば、

・地元の商店街とタイアップして、モンテディオ山形の試合時に相手チームサポーターへの将棋駒をプレゼントするおもてなし。

・小児がん患者を支援するためのレモネードスタンドプロジェクト

・近辺の幼稚園にチラシ配りから始め、「親子クリスマス会」を開催

するなど、これらの活動を自主的に決めて取り組んでいるのだそう。

 レモネードスタンドプロジェクトでは、自らが小児がんの経験者だった「nicoこえ」のメンバーの高校生が、同じような境遇の子供たちの役に立ちたい!という強い思いがあって、ここでならやれると取り組み、見事に実現させたのです。

 学校や地域の枠を超えて若者が声をあげ意見を出し合って協力してやっていく。

nicoこえ」はそんな願い通りのボランティアサークルになっています。

(ただ今メンバー募集中だそうなので、興味がある方は青年の家までご連絡を!)

「今までは後方支援がメインだったが、先頭に立ってロールモデルを作り、そのノウハウを発展させて、市町村単位でも盛り立てていってもらいたいですね」

 

 SDGs×地域文化の講話&ワークショップ

 1月14日に開催されたのは『持続可能な社会づくり体験2「SDGs×地域文化」』です。

村山地域の高校生から県内外の大学生、地域協力隊、高校の先生と幅広い年代の方たちが参加。

今回は第2弾!
山形におけるSDGsの現況を学び、その観点から地域に貢献する青少年等の活動に役立つ知識や技術を習得するとともに、新たな活動分野について考える機会を提供する場になりました。

グループに分かれて盛り上がる話し合い

 

参加者約25名が7グループに分かれ、第1部では『持続可能な観光地域づくり』とのテーマで、DMC天童温泉の後藤里穂さんの講話と、ホワイトボード・ミーティング®認定講師の工藤美季さんのワークショップが行われました。

第2部は地域文化体験活動として、青年の家がある天童市の伝統的工芸品である「将棋の駒」の書き駒体験!

駒づくりの先生(将棋むら天童タワー)の手元を真剣に見つめる参加者たち

 

「競争から共創へ」

 講話では過去、現在から未来に向けての課題を考えていく中で、宿同士の個別の競争ではなく、天童温泉全体のエリアで考え、そこに来て下さる観光客を増やすことへシフトしていこうとする様々な取組みを紹介。

「競争ではなく共創して実現したい未来」として持続可能な観光地域づくりを目指そうとする後藤さんのお話を皆さん熱心に聞き入っていました。

 

DMC天童温泉の後藤里穂氏

 

良好なコミュニケーションと話し合いの技術を磨こう

 

 ワークショップでは、ホワイトボードを活用して進める話し合いの技術を身に付ける「ホワイトボード・ミーティング®」を行いました。

進行役を「ファシリテーター」、参加者を「サイドワーカー」と呼び、質問カードで情報共有を行ったり、より深い話し合いに持っていくなどの方法で、山形の良い所を観光資源としてどう活用できるかという話し合いを掘り下げて、合意形成や課題の解決方法を学ぶというやり方。

グループの中で皆さんとても楽しそうに話をしていたのが印象的でした~。

ホワイトボード・ミーティング®認定講師の工藤美季氏

 

 

そして午後は将棋駒を自分で書くという貴重な体験!

 

 参加した寒河江工業高校2年の渡邉蓮くんは、天童温泉を知りたい、行きたいなと思うきっかけになったし、普段接することができない県外の方や大学生などと交流できたこと、いろんな意見が聞けたのが良かったと話してくれました。

 地域系ユーチューバーとして活躍している大学生、二宮綾音さんと大竹希美さんに感想を伺いました。

大竹さん
「今後の山形にとって大切なことを学べた。観光はそこの地域の経済を助ける重要なもので、持続可能な観光にするために、天童でどういう取り組みが行われているか知る事ができた」

二宮さん
「ワークショップは少し難しかったが、こういう手法を試してみて、初対面の方から深く聞き出せたという楽しさと達成感があった」

地域系YouTuberの大竹希美さん=山形大学1年(左)と二宮綾音さん=青森公立大学1年(右)

 

明るく積極的にワークショップを進めていたお二人。

「最初は簡単な話題から入っていって気軽に話しすることができたし、普段話せないような人たちの深い所を聞けたような気がする、大学のゼミでも活用できそうで勉強になった」と笑顔で話してくれました。

 

 最後に、県青年の家にお邪魔して、なんときめ細やかな!と思ったのが、こちらのイベント当日のパンフレット。

 右下に最寄りの天童駅の時刻表が…イベント終わりであろう電車の時間が載っていますね。

 この何とも親切な心配りに、青年の家さんのボランティア精神や姿勢が表れているなぁとちょっと感動した帰り道でした。

 

山形県青年の家

天童市小路一丁目7-8
TEL 023-654-4545         FAX 023-652-2007