村山市甑葉プラザのほど近くに、グレーの壁とすだれが特徴的な建物があります。古民家を改装したカフェ、「Kiwa」です。店主の末永玲於さんは、慶応義塾大学在学中に村山市に移住し、地域と関わりを築きながら、20224月に「Kiwa」をオープンしました。地域の方や若者たちが訪れる、賑わいの場所になっています。

 

「Kiwaは際(きわ)って書くんですけど、異なるものと異なるものの境界といった意味があって、そういう異なる属性の人同士、例えばアートとビジネス、古いものと新しいもの、おじいちゃんと若者とかが違和感なく共にいられる場所を作りたいと思い、この名前にしました。ここを居心地よく感じた人が、何かやりたいと思っていることをぽろぽろ話し出して、じゃあ誰かとやってみよう、一緒にやろうっていうコラボレーションが生まれるような、1+1が3とか4になるような、そんな場所になったらと思います

 

末永玲於さん

カフェとしての居心地の良さだけでなく、誰かと誰かがつながるきっかけになる場所にという願いを込めて作られた「Kiwa」。今回は「Kiwa」の魅力をご紹介します。

話しやすい場所を目指して

「例えば、県外から何のツテもなく村山市に来て農業をしたいという方が、ここで市内の農家さんと繋がったということがありました。他にも、仕事で悩みを抱えた方が、ここでたまたま出会った人生の先輩に話を聞いてもらって、すっきりした様子で帰っていったこともありました」

 

オープンしてから3か月と少し。ここで生まれた出会いやドラマは、挙げたらきりがないと末永さんは言います。

ただ食事をとりに来るだけでなく、気軽に話をして、人と繋がれる場所であってほしい。友人や同僚には話せないような想いや、やってみたい事を、「Kiwa」に来て話してほしい。「よし、じゃあ一緒にやってみよう」と手を取るのが、「Kiwa」の役割です。

 

とはいっても、自分の心の内を話すのは、なかなか難しいもの。「Kiwa」では、来た人がリラックスして会話ができるように、話しやすい場づくりを意識しています。

 

橙色の光が包む、落ち着いたトーンの店内で、実家感を

Kiwaの扉は懐かしさを感じる引き戸。がらがらと音のなる戸を開けると、まず目につくのはバーカウンターです。カウンターに立つスタッフと目が合って、「いらっしゃいませ」と声をかけてくれます。明かりは少し暗め。店内の木製の机やいすはほとんどが濃い茶色で、良い意味で土臭さを残しています。“あえて洗練させない感じ”と末永さんが称する、昔懐かし親しみやすい雰囲気は、来た人の警戒心をほどきます。

話を始めるキッカケとなるような仕掛けもあります。例えば壁に掛けられた絵や作品たち。脇に名刺を設置することで、誰が作ったのかがわかるようになっています。それから、店内の右側に作られた小上がりスペースも、仕掛けの一つです。

 

 

「靴を脱ぐとリラックスするじゃないですか。自分の鎧を脱ぎ捨てるというか」

 

靴を脱いで、畳にざぶとんのスタイルで机を囲むというのも、会話を生むのに一役買っています。

 

コミュニティマネージャーとしてのスタッフ

「僕もスタッフも人と話すのが好きなタイプです。まず僕たちがお客さんと話していて、他の方に紹介するということもあります。コワーキングスペースに近いような、コミュニティマネージャーの役割もあるんです」

 

お客さんとスタッフとの距離が近いというのも、kiwaの特徴の一つ。バーカウンターはもちろんですが、スタッフは営業時間内でも店内を自由に歩き、お客さんと会話をします。率先して、会話しやすい雰囲気を作っています。

「Kiwa」でできること

 新しい出会いが生まれるカフェとしての側面を先に紹介しましたが、「Kiwa」はカフェ以外に、シェアハウス、ゲストハウスも行っています。また、カフェはチェレンジキッチンとしても活用でき、日によって異なる料理を楽しむことができます。

 

ゲストハウス/シェアハウス

1泊(1人) 3500

ひと月(1部屋) 40000

 

レンタルスペース/チャレンジキッチン

※希望者は要相談。
※日程は変更になる場合があります。最新情報はHPをご覧ください。

 

カフェ

「Lounge kiwa」
カフェランチやスイーツ、ドリンクを楽しみながら、気兼ねなく会話を楽しめるカフェ。末永さんをはじめとするスタッフはもちろん、居合わせた方との偶然の出会いも面白い、そんな場所です。

こだわりのkiwaスパイスカレー
自家製ジンジャーエール

 

「スパイス膳」
スパイスを使った料理が楽しめます。

「Café-Bar El Patio de Romero de Torres」
チャレンジキッチンを活用した、スペイン料理のお店です。

「スナックちはる 一品とたまり場」
地域おこし協力隊が開くスナック。地域の方と地域のお話が出来る少しディープな場所です。

一緒にチャレンジしていきたい

 人と人が出合い、想いを語り、新しい何かが生まれる場所として、「Kiwa」はすでに多くの出会いを生んできました。今の形が、まさにやりたかったことだと言う末永さんは、しかしまだ満足はしていません。

 

「僕自身、チャレンジしていきたいんです」

 

地域の方や知人、足を運んでくれて繋がったお客さん達。出会いは広がっていきますが、もっと多くの人にこの場所を知ってもらいたい。ここに来た人が新しい出会いを経て、ちょっとポジティブな気持ちになってくれる。1+1が3になるという根本はぶれることなく、多くの人が利用するようになれば、もっと大きな人の輪になる。

 

「そのうえで、このKiwaをベースに、一緒に新規事業にチャレンジするようなことが生まれたら激アツですね」

 

既にチャレンジキッチンなどで「一緒に」を実現している仲間たちは、「Kiwa」を盛り上げるメンバーだと末永さんは言います。

今後「Kiwa」を起点にどんな事業が展開されていくのか、期待が膨らみます。

 

末永さんからメッセージ

「自分の抱えている想い、ポジティブなものでもネガティブなものでも、まず身近な人に話してみるのが大事だと思います。僕自身は、そういうふうにしています。思ったことを言ってみるというのは大事です。もし、周りに話せる人が居なかったら、ぜひKiwaにきてください」

 

 

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村山市のコミュニティが生まれる場所Co-Creating-Lounge & Share HouseKiwa』をご紹介しました。

山形で珍しい、若者が集まる場所。今後この場所からどんな事業や活動が生まれるのか、楽しみです。

 

末永さんとお話をしてみたい方は、金・土・日に行くと会えるそうです。ランチタイムを避けていくと、ゆったりとお話が出来るかも。

もちろん食事とドリンクを楽しみに行くのもお勧めです。