森林資源豊富な飯豊町にやってきた、若者2人。
「再生可能エネルギーの会社を、このまちで実現したい」
今回取材したのは、飯豊町地域おこし協力隊に新たに着任した小野優太朗さん(ゼロカーボン推進員)と後藤武蔵さん(SDGs普及推進員)のお二人です。
2021年10月の着任から4か月。二人の描く未来、活動の全貌を、お聞きしてきました。
意志疎通はばっちりな小野さん(左)と後藤さん(右)
ゼロカーボンとはCO2削減のため、「脱炭素化」を目指す取り組み。ここ山形県でも長期目標が掲げられ、現在まで13の市町村で宣言がありました(山形県の宣言)。小野さんがいる飯豊町ではごみの減量、地域の再生エネルギー(バイオマス発電)の研究等を行っています。
生まれは宮城県名取市。東京の大学でバイオマスの基礎研究をしたのち、石油関係やIT関係で6年働きます。
「6年ぶりに後藤から連絡を受け、面白そうだなと思って」
研究室の仲間だった後藤さんに誘われたことをきっかけに、飯豊町にJターン。
(Jターン:首都圏から、地元以外の地方に越すこと)
「いつか地元(名取市)に戻って地域発展させたいと思っていたのと、再生エネルギーやりたい、って思いがあったからなんですかね。誘われたときあまり、迷わなかったです。笑」
2030年まで持続可能な社会を目指す開発目標、SDGs(エス・ディー・ジーズ)。今やメディアでも街中でも耳にする、合言葉です。
後藤さんは飯豊の豊富な森林資源を生かした一次産業の再生のため、伐採・加工・活用まで地域で循環する仕組みを勉強中です。
地元は山形県飯豊町。小野さんと同じ研究室にいた当時から、地元起業への想いが強かったといいます。
「飯豊が好き。いつか地元で、起業したい」
この想いのもと、ファーストキャリアは機械周りの会社へ。愛知県の設備や車を扱う会社で6年間の社会人経験をつみ、満を持して地元の協力隊の募集に手を挙げたのは、仕事も家庭も落ち着いた30歳を迎えるタイミングでした。
「どちらかと言うと自分は、ぐあっと、勢いで行くタイプ。 反対に小野が、落ち着いて考えるブレイン担当です。昔の様に二人でやればきっと面白いなと思いました笑」
SDGsと森林資源のギャップ 活動1
森林資源が活用されない状況について、
「着任前は森林資材の『使い道が少ない』から『活用方法を考えよう』と思っていたのですが、実際違ったんです」
と話す後藤さん。
実際の原因は『お金にならない』ことで従業者が離れていく、というところでした。
「新たな問題に気づいたことで、お金にならない一次産業をどうやってお金に繋げていくか考える方向に、軌道修正しました。
伐採・加工・活用の総合的な視点でできることを現場目線で、考えています。」
すぐに行動に移し、地元の山で師匠を見つけます。現在は隊員の業務の傍ら、師匠のもとで修行の日々。山と飯豊の"未来“を切り開きます。
ちなみに林業関係の資格は、自費で取得しました。気合いが入ります。
脱炭素化社会は、コンポストから 活動2
「身近にできることから始めてみようと思ってコンポストを作ってみました。匂いは少なくはなるけど、どうしても残ります。向こう(東京)では無理かな、、、笑」と、小野さん。
脱炭素社会と一言にいっても、道のりは多種多様。まずは身近なごみ削減を目指し、実験に取り組みます。
(コンポスト:家庭ごみからつくる肥料)
地域の方への啓発活動も行います。家庭で使わなくなったものが他の家庭で再利用できること、ごみを減らすことを通して資源の価値を伝えているそうです。
ごみの重さを可視化をし活用する実際にある事例を真似して、アイデアを考え中だとか。上勝町の、ゼロ・ウェイストタウンです。普及のためのインプット、将来への種まきにに日々励んでいます。
「いいものは、パクる!まずはオリジナル性やプライドの邪魔をなくして、真似するのも大事だと思ってます。」
暮らしの中のゼロ・ウェイストを実践するまち、上勝町。不用品の無料交換所「くるくるショップ」ではまだ使えるものを無料で持ち込み、持ち帰ることができます。 (出典:ゼロ・ウェイストタウン上勝 | 上勝町ゼロ・ウェイストポータルサイトhttps://zwtk.jp/zwcenter/)
二人の描く未来
最後に今後二人の描く未来を、お聞きしました。
小野さん「ゼロカーボンやSDGs達成に向けて、現状を数値で出す取り組みを考えてます。実現できるかわからないですが、頑張ります!」
後藤さん「地元をフィールドに、頑張りたいです。来年度からは修業の中で、将来を見据えたスキルや能力を身に付けていこうと思います!」
地域を愛し、地球に優しい、熱いお二人
後藤さんの将来の夢は再生可能エネルギーの会社を、飯豊町で起こすこと。ブレイン役の小野さんが仲間として、全力で向き合います。
隊員としても、個人としても、地域に貢献する未来が思い浮かばれます。
小野さんと後藤さんの今後のご活躍を、期待しております!
(手記:さんじのじなん燿)
今後の活動を、ぜひリアルタイムで。
(取材日:2022/1/24)