街の店主たちが講師となり専門店の知識やノウハウを無料で提供するまちの取り組み
「まちゼミ 得する街のゼミナール」
が開かれていると聞き、取材に行ってきました。

雪の積もり始めた月山を越え、お会いしたのは
庄内まちゼミ実行委員会第4回会長の原田真行さんです。

原田さんが庄内町で取り組んでいることとは?
お話をお伺いしました!

 

原田 真行はらだまさみち)さんのプロフィール

有限会社マルハ産業営業兼カレー部部長/ハラダのカレー店主/第4回庄内まちゼミ実行委員会会長

山形県庄内町出身。中学高校6年は北海道で単身寮生活を過ごし、大学進学で宮城へ。サークルでは映像制作に明け暮れ、そのまま都内の専門学校と映像制作会社を経験する。
震災を機に2013年に庄内町へ約20年ぶりにUターン。地元にほぼ繋がりはなかったが、商工会で勧められた6次産業スクールでは趣味のカレーつくりをヒントに「ハラダのカレー」の事業化に成功し、現在もカレーの素販売や出店販売を行う。10年ほど続いていた「一店逸品」に続く商店街活性化のため、2018年に「まちゼミ」が導入され、運営当初から携わる。
実行委員会で第4回の会長を務め、コロナ禍に負けない“細く長い”まちのひと同士の関係つくりを目指している。

 

原田さんのお話より

 

「2013年。震災を機にUターンした庄内町は知り合いがほぼいない町でした。やりたいことも特になく、祖父が創業した仕出し弁当屋の営業部で働きながら、町の知り合いを増やすため商工会に顔を出していました。☞弁当・仕出しみずほHP

しばらくして、町で試みていた6次産業化のため、県の6次産業スクールに通うことになりました。山形市と庄内町を往復の日々。最終報告会では駅前複合施設『クラッセ』にレトルト食品の機械があったので、レトルトカレーを作ってそのまま『ハラダのカレー』として商品化。スイデンテラスや道の駅のほか、スクール時代に繋がった山形市や仙台市などで売ってました。☞ハラダのカレー販売情報

その頃、町では『一店逸品』という店のイチ押し商品や新商品をPRする取り組みが10年近く続いていたのですが、いわゆる“マンネリ化”が課題になっていました。

何か新しい取り組みはないか、、、と探していた時、見つかったのが『まちゼミ』でした。早速『一店逸品』のメンバーで県内の米沢市、寒河江市、発祥の岡崎市など県内外を視察して、開催準備を進めることに。」

 

「まちゼミ」とは
お客さんは知識ノウハウを得て、お店は新規のお客さんを得て、まちはイメージアップや経済活性につながる、お店・お客さん・まち“三方よし”のコミュニケーション事業。2003年に家康公のふるさと・愛知県岡崎市で始まり、「まちゼミ」は全国的な事業として広がりました。岡崎市だけでも100店舗もの講師店で開催、全国350ヶ所以上の開催実績があります。
山形県では今回取材した庄内町のほか、米沢市、寒河江市など5市町村で導入されています。☞まちゼミ公式HP

 

 

商店ではなく“ひと”を売る事業まちゼミ

「商品のPRがメインとなっていた今までの『一店逸品』とは違い、
『まちゼミ』は少人数コミュニケーションを通した店主の“ひと”を売ることが特徴的です。
既存のメンバーで、第一回まちゼミin庄内町を開催しました。」

 

 

店主が自ら『少人数』かつ『無料』の講座を開き、お客さんに専門知識やノウハウを伝授するのが特徴的で、小さい規模ならではの双方向のコミュニケーションから人間関係を作ることができるのがウリです。」

 

 

「庄内町では、カレー屋の手作りスパイスカレー講座、カフェ屋のコーヒーの淹れ方講座などお店の特色を生かしたものから、『美容師による手打ちめん講座』や『薪割りと音楽鑑賞』なんかの多方面な講座もあったりします笑。

  

 

まちの人の面白さがでるのが魅力的なんです。」

 

 

無理しないで、続けていきたい

 

「一方的な押し売りでもなく講義でもないまちゼミは、今年で4回目となりました。講座参加者の2~3割がイベント後も『お店のファン』になって購入していただけると好評を頂いているのですが、その一方で辞めてしまう店主さんたちもいました。

準備が大変だったり、講座に人が来なかったりでお店の負担になってしまったのが原因のようでした。

だけどこの取り組みは“その場の利益”よりも、長い目で見たとき“その後の繋がり”が大事だと思っています。コロナ禍で外部からの集客状況も悪い中、近くに住む人同士で仲良く楽しい関係を作っていく。これは持続可能なまちづくり、にも繋がっていくんだと思います。

辞めてしまった店主にも人気講座のノウハウを共有したりして、また仲間に戻ってきてほしいと思ってます。そこまで頑張らずに、無理しないで続けていきたいですね。」

 

これからも細く長く、好きなことを

「庄内町には(まちゼミに参加していない)お店がまだまだあります。

Uターンして思ったのですが町には話してみるととても個性的というか、面白い人がたくさんいたんです。若いころ『何もない』と思っていたのに実は違ったんだ、という衝撃がありました。」

「庄内町に限らず、どこの田舎も個性的で面白い人はいると感じます。人の面白さに気づいて、お店もそうですが店主の人柄を好きになってもらえればいいなと思っています。

これからも頑張りすぎず細く長くみんなで続けて行きたいです。好きなことを続けられる(法則)ってあると思うんですよね笑 今後の課題として、予約状況を見やすくしたりお店の広報のSNS活用などがありますが、年代が高めなのでSNSは、、、どうにかしたいです笑。

お店が増えて自立した事業となって、町のなかで小さな経済圏ができれば理想的ですね。」

一緒に楽しむ仲間を徐々に増やしていきたいと話す原田さん(写真右)

 

後記

話してみると実は面白い人だった、なんてことがよくありますね。地域の面白い人たちで持続可能な地域をつくる、これからの社会のお手本となりそうな姿を学ばせてもらいました。原田さん、ありがとうございました。

全国で開かれる「まちゼミ」。あなたの近くでも探してみては☺(取材:さんじのじなん燿)