「中古住宅や古民家をリノベーションして、ゲストハウスやシェアハウスとしてOPENする」
近年、このような話題はよく聞くところとなりました。
できるだけお金をかけたくない…という理由から、「自分である程度やってしまおう」と思う人も多いと思います。
でも、建築や家づくりの知識がない素人で、どこまでできるものなの?
今回は、そういった素朴な疑問を尋ねてみました。

 

■リフォームの専門家「living design EEdore(イイドレ)」

 

 

今回は、山形市緑町にある「living design EEdore(イイドレ)」の代表 田久保真喜さんに、リノベーションやDIYについてアドバイスをしてもらいました。

「living design EEdore(イイドレ)」は、リフォーム・古家具再生・外構工事・解体コーディネートの二級建築士事務所です。一般住宅の総合リフォームはもちろん、アパート・マンションの空室対策としての内装リフォームやリノベーション(古民家・古家具再生)を得意としています。
代表の田久保真喜さんは、ハウスメーカーに就職して東京で5年間勤務後、山形にUターン。さらに7~8年の勤務を経て独立起業しました。地元密着型の工務店として、家づくりのお手伝いをしています。
「新築もいいけど、『まだまだ使えるのに壊したり捨てたりしなくてもいいんじゃない?』と思うこともよくあります。リノベは楽しいし、アレンジの仕方次第ではオシャレにもなるのが魅力だと思います。」

 

「living design EEdore」代表 田久保真喜さん

■リノベーション中の「B.Base」を見せてもらいました

田久保さんと一緒に、現在リノベーション真っ只中の「B.Base」(村山市)にお伺いしました!

B.Base」は、昨年村山市に移住した(株)ローカル・インキュベート代表の末永玲於さんが家主で、クリエイターが集う拠点にするためクラウドファンディングでリノベの資金を募りました。現在、協力者とともに、少しずつDIYを重ねてリノベーションをしています。

 

リノベーション中の「B.Bace」
家主の末永さん。クラウドファンディング、達成しました!

今回は、実際に「B.Base」を見せてもらいながら、イイドレの田久保さんにアドバイスをしてもらいました。まずは離れを案内してもらい、構想を末永さんから聞きます。

「母屋は『昭和のおばあちゃんち』をコンセプトにして、大体はこのままでいこうと思っています。しっかり作り変えるのは離れ。1階はアトリエにして、2階はくつろげる空間をイメージしています。」

 

”離れ”の1階部分。倉庫を全体的にリノベする予定

 

まず田久保さんが話したのは、「図面」があったほうがよい、ということ。家屋の図面がない場合は、作成しておくと、柱の構造など重要な部分がわかるので、「できること・できないこと」の判断がしやすいそうです。

それから、この家屋には道具や廃材、家具も元の持ち主の物がそのままあったので、廃棄する場合のコツも教えてもらいました。

 

リノベでは廃材などの処理も頭を使います

 

2階では、お手伝いに来てくれていた方も一緒に、今後の構想を話し合いました。
田久保さんからのアドバイスとしては、

  • 山形は夏がとても暑いので、断熱材は必ず入れたほうがよい。
  • 1階に手を加える場合、2階の床を支える柱がどれかをしっかり見極め、強度に注意する。
  • 天井はそのままむき出しでも良いし、廃材を活用して貼り付けてもおしゃれなものになる。

などなど……
最低限必要なことと、プラスアルファの具体的な活用法を伝授いただきました。
もちろん、取捨選択は家主の自由。そこがリノベの良さですね。

 

2階の天井。そのままでも味があるけど色を塗り足すとおしゃれ感がアップするそうです

 

ひととおり見終わった後に、お二人に感想をお聞きしました。

 

田久保さん

「発想がおもしろいなと思いました。大工さんの常識とかに囚われずに、若い人ならではの発想でいいと思いますよ。どの柱がこの家を支えているかということに注意すれば、ある程度自由でいいのかなと思います。壊して完璧にリノベしようと思うと大変なので、壊さないで重ねる(被せる)という方法もあります。

それから結構大事なのは、『いつまでに何をするか』のプランニング。締め切りを決めないとなかなか進まないもの。リノベする順番も、誰かが管理するとうまくいきます。」

 

末永さん

「自分の場合、まず理想像を考えて、そのあと経験者の方にできるかを尋ねて理想と現実の擦り合わせをしました。それから作業に入ったんですけど、なかなか資金が満足にない場合は、自分でやるか、知り合いの大工さんにお願いするか、だと思うんです。でも、自分でやる場合、YouTubeにある紹介動画を見ても、素人はなかなかできないなと実感してます。今日はいろいろ聞けて良かったです。」

 

■リノベーションを計画するときは

最後に、田久保さんに、リノベーションを計画する時のポイントを教えてもらいました。

<始める前に>

  • 図面(間取り図)を作る(どの柱が何を支えているかを知る)
  • 主要な柱を抜かないように計画する
  • 床下が腐っていないかを確認する
  • 電気工事や水道工事は必ず業者に依頼する(有資格者のみ工事可)
  • 材料や道具などを買い揃える場合の費用と、業者に頼んだ場合の費用を比較する

 <業者に頼むとき>

  • 2社以上から見積をとり、適正価格を知る
  • わからないことがあったら積極的に質問してみる

 <自分でリノベーションするとき>

  • 『いつまでに何をするのか』のプランニングをする
  • ちょっとくらい想定と違っても、その仕上がりを楽しむ気持ちを持つ

 その家の良さを活かしながら、さらに素敵な空間へと生まれ変わるためのリノベーション。安全第一、計画的に楽しみながら作ることで、いい思い出も積み重ねていくことができるのかもしれないですね。

取材に協力してくださいました「living design EEdore(イイドレ)」の田久保真喜さん、(株)ローカル・インキュベートの末永玲於さん、ありがとうございました!

 

■ living design EEdore(イイドレ)
990-0041 山形県山形市緑町2-6-40緑町アパート1
TEL 023-609-9077
営業時間 100017:00
定休日 月曜・木曜・祝日
https://eedore.jimdofree.com/